TED和訳まとめ

TED和訳まとめ

TEDとは世界の叡智が講演をおこなう極上のカンファレンスです。

どのように(ほとんど)ルールのない会社を経営するか


組織チェンジメーカー
Ricardo Semlerは、苦労している機器メーカーを根本的に民主的で弾力のある(成功した)会社に変えた20年後、組織が賢明になることを望んでいます.Full bio

0:11


私は毎週 月曜と木曜に 死に方を学んでいます 「我が人生終焉の日」 と呼んでいます 妻のフェルナンダは この呼び名が好きじゃありません でも私の家系では 多くが 悪性黒色腫で亡くなっていて 両親も祖父母もそうでした それで私はずっと考えているんです いつか医師の前に座った時 私の検査結果を見て こう言われるんじゃないかと 「リカルド あまり良くないね 余命は半年から1年だね」


0:38


すると人は 死ぬまでに 何をしようか考え始めます こんなふうに― 「子供ともっと一緒に過ごそう どこそこに出かけよう 山なんかに登ったり それから 時間の余裕がある内にしておかなかったことを 今から全てやろう」 しかしもちろん お分かりのとおり これはとてもほろ苦い 思い出になるでしょう 実行するのは非常に難しく おそらく大半の時間 泣き暮らすことになるでしょう ですから私はそうならないように したかったんです


1:04


毎週月曜と木曜を 「人生終焉の日」にあてて その2日間は 悪い知らせを受けた時 するであろう事を 何でもしておくことにしたんです (笑)


1:17


皆さんが― (拍手) 「仕事」の逆を考える時 多くの場合思いつくのが オフタイムです 「ちょっとオフが必要だ」 とか言ったりするでしょう でも実際のところ オフタイムは すごく忙しいんです ゴルフに行き テニスに行き たくさんの人に会って ランチに行き 映画に遅れてしまう やることがありすぎるんです 「仕事」の反対は「暇」ですが ほとんどの人は 暇な時に何をすべきか知りません 普段 どのように時間を 配分しているかを見てみると お金がたくさんある時期には 時間がほとんどないことに 気がつくでしょう そしてようやく時間ができた頃には お金も健康も失っています


2:04


我が社ではここ30年 これについて考えてきました 我が社は何千人もの社員を抱える 複雑な会社で 何億ドルものビジネスをしています ロケットの推進システムを作り ブラジルで4千台のATMを運営し 何万人分もの所得税の 申告準備をしています 単純なビジネスではありません


2:28


我が社の様子を見て こう考えました 社員に任せよう 社員のために会社から 全寮制学校のような面を 取り除こうと― いつ出社するか どんな格好をするか 会議への参加の仕方 何を言うか あるいは言わないかとか そしてどうなるか見てみようと 私たちは約30年前に まさにこの問題に 取り組み始めたのです そして社員に定年退職のことや 人生の時間配分を 考えなさいといいました 82歳になってから 山に登るのではなく 来週行きませんか? つまり こうするんです 給料の10%と引き換えに 毎週の水曜日を払い戻すのです もしバイオリニストになろうと思えば― まあ ないでしょうけど 水曜日にすればいいんです


3:12


そして分かったのは― 私たちは 年配の人々が このプログラムに強く関心をもつと 考えていました しかし最初の支持者の 平均年齢は― 29歳でした もっともです そして社員の動向を見ていく中で 物事のやり方を変える必要が あると思いました それでこう考え始めました 社員の出社時間や退社時間などを なぜ知りたいんだ? これと引き換えに 社員から仕事を買うという 契約にできないか? なぜこんな本社を建てているのか? 自分たちのエゴで 手堅くて 重要な大企業だと 見せたいからなんじゃないか? しかしそのために社員を2時間も 街中 引きずり回しているのか?


3:48


私たちは1つ1つ 問い始めました こんなふうです 1点目― どうやって人材を見つけるか? 社外に出て こう人に声をかけました 「いいですか― 我が社に 来て頂ければ 2、3回面接をして その後は 定年まで骨を埋めて頂く なんてことにはなりません それは私たちの考える 人生ではありません そこで あなたからも面接をしてもらいます」 興味のある人は やって来ます 私たちは 事の推移を 直観を頼りに見ていきます その人が適材かについて いくらか情報を得るだけではなく その後また社に来て頂き 午後 あるいは丸一日 社で過ごし 話したい人と話をしてもらいます 私たちがその人の思うとおりの 「花嫁」か 確かめてもらうんです そして我が社の広告とは違って ペテン師ではないこともね (笑)


4:33


私たちはゆっくりと 物事を進めていきました 我が社のリーダーになるには 誰の場合でも 将来の部下の面接を受け 承認を得ることが必要です 将来の部下の面接を受け 承認を得ることが必要です 6か月ごとに 全員が匿名で リーダーとしての評価を受けます これによって誰がリーダーの座に 留まるかが決まります お分かりでしょうが 多くの場合 状況に左右されます また70、80%の評価が得られなければ 留任できません 私が10年以上CEOをしなかったのも おそらくそのためです 時間がたつにつれ 私たちは他のことも問い始めました


5:11


こんなふうです なぜ社員が自分の給料を 決められないのか? 彼らは何を 知る必要があるのか? 知るべきなのは たった3つです 社内の社員の給与 同業他社での社員の給与 経営が成り立つだけの利益を 社全体で上げられているのか この3つの情報を 社員に与えよう それでカフェテリアに PCを置き 社員がいろいろ 調べられるようにしました 個人の経費と売上 他社の利益はいくらで 自社の利益はどうなのか マージンはどうか など 25年前の話ですよ


5:46


こういった情報が 社員に届くようになると 私たちはこう伝えました 経費明細書のチェックはしない 何日休暇をとるのかも どこで働くかも 知る必要はない 私たちは一時期 街中に 14のオフィスを構えていましたが 家から一番近い または 今日訪問する顧客に一番近い オフィスに行きなさいと どこにいるかを 報告しなくてよいと さらに社員が 5千名いた時でも 人事部には2人しか いませんでした ありがたいことに1人は 定年退職しました (笑)


6:19


それで考えたのは 社員をどう大事にするか?です 社員は私たちの 唯一の財産です 社員を追い回したり 子供扱いする部門は置けません これがうまく進みだしたのを感じつつ 私たちはある事を探求していました それは私が 「人生終焉の日」や会社で 探し求めていた中心的な事です― それは私が 「人生終焉の日」や会社で 探し求めていた中心的な事です― 英知を得られる場を どうやって作りだすかです 私たちは革命の年代を生きてきました 産業革命 それから情報革命 知識革命もです しかし英知の時代には そこまで近づけていません 英知をもっと得られる組織を 作るにはどうしたらいいでしょう? 例えば 往々にして 最も賢い方針は 嘘をつきません 私たちのやり方はこうです いいでしょう 製品を57個 1週間で売ってください 水曜までに売れたら どうかビーチに行ってください 製造や申請などの 面倒を起こさないでください 新しい会社や競合他社の 買収が必要になってしまいます 製品を売りすぎたために あれもこれもする羽目になるんです だからビーチに行って 再開は月曜日にしてください (笑)(拍手)


7:26


これが英知を探すプロセスなんです もちろんこのプロセスでは 社員に全てを知っていてもらい 経営方法を真に民主的なものに したいと思っています それで取締役会は2席をオープンにし 同等の選挙権を与えています 先着2人です (笑) そして掃除係の女性に 取締役会で投票してもらいました スーツにネクタイの重役は 既にたくさんいますからね 実際 彼女たちのおかげで 本音で臨むことができました


7:57


このようにして関わった 社員の様子を見てみたところ― 「ちょっと待てよ」 と 彼らはこんな風です 「どこに座ったらいいですか?」 「何をすればいいですか?」 「5年後私はどうなりますか?」 それで気づきました もっと早期から始めねばと どこから始めようか? ああ 幼稚園だと思いました


8:15


それで財団を設立し 11年経った現在 3つの学校があります そこでは同じことを 問い始めました― 英知を得るために どのように 学校を設計し直せばいいか? 一つ言えるのは 教師を入れ替える必要性です あれこれやろうとすると 監督者は必要ですが 実際には 教育のあり方は 全く時代遅れです 教師の役割は 全くの時代遅れなんです 数学や生物 14世紀のフランスなんて じつに馬鹿らしい (拍手) それで考え始めました― どんなことができるか? 私たちは教育が好きな人や パウロフレイレや ブラジルの2人の教育相などを集め 考えました もし学校を一から設計し直したら どんなものになるか?


9:05


そうして この学校― ルミアルを創設したんです このうち1校は 公立です ルミアルでは こんな考え方をしています 教師の役割を2つに分けよう 一方のグループは チューターです ギリシア古語ではpaideia― 「子供を見守る」という意味です 家庭で何が起きているか 人生で今がどういう時か など でも勉強は 教えないでください 「Google先生」には 敵いませんからね 胸の奥にしまっておきましょう (笑) さて協力を依頼したのは 次の2つを持つ人たちです― 情熱と専門性です プロか否かは問いません 来てもらっているのは お年寄りです 彼らは人口の25%を占めるのに 誰もが彼らの知恵は用済みだと言う そのお年寄りたちに学校に来てもらい こうお願いするんです― あなたが大事だと信じていることなら 何でもいいので 生徒に教えてくださいと ですからバイオリニストが 数学を教えたりします 全ての物がそろっています もう教材の心配はいりません 2歳から17歳までの 約10の素晴らしいコースがあります 「人間の器を測定する方法」 などです 数学も物理も 全てが関係してきます 「自己表現の仕方」 音楽や文学などが これには関係してきます 文法もいりますね


10:23


皆が忘れてしまった テーマもあります おそらく人生で 最も重要なことです そのまさに重要なことを 私たちは何も知らないんです 愛について何も知りませんし 死についても なぜ自分がここにいるのかも 知らないことを何でも話し合えるコースが 学校には必要なんです 私たちのしている大部分は こういうことです (拍手) 時を経るにつれ 他の面にも着手しました なぜ生徒を 怒る必要があるのか? 座りなさい、こっちに来なさい あれしろ、これしろ― とか 私たちは生徒に「サークル」を 運営させることにしました 週に1回会合をします そしてこう言いました 自分たちでルールを考えて 運用方法も自分たちで 決めなさいと 自分で自分の頭を1週間叩く? よし 1週間やってみなさい 生徒は私たちが決めたのと 全く同じルールを考案しました ただしこれは彼らのものです そして彼らはパワーを持ちました つまり 彼らは生徒を 停学や退学にできるんです 学校ごっこではなく 本当に決めるんです


11:30


そしてこれと並行して デジタルモザイク型の カリキュラムは残しました これは構成主義でも モンテッソーリ教育などでもないからです ブラジル式のカリキュラムを 残しているんです カリキュラムは 600の単元に分かれており 生徒には17歳までに これに接してもらいたいと思っています 彼らが取り組む様子を 私たちはずっと見守ります 生徒がその時に興味がなければ 1年待ったりもします 生徒はグループに所属しますが 年齢では分けていません 6歳の子でも 準備ができていれば 11歳の子と過ごします これで閉鎖的なグループに 分かれるなどの 学校でありがちの事が なくなります 成績は0点から 100点の間でつきます 彼らが数時間ごとに 自分でアプリでつけるんです 37点とれた生徒は 世界に送り出せるだけの 充分な知識をつけたと見なされます 科目にはサッカー・ワールドカップや 自転車の組み立てもあります 45日間で自転車を組み立てるという 科目に登録した場合 円周率=3.1416の 知識がなかったら できませんよね 3.1416を何かに 使ってみてください 覚えてないでしょう 知識はなくなるんです それを何とかしようというのが この学校で探求している英知です


12:52


ここで再び思い浮かぶのが この「人生の時間配分」グラフです 思えば私は 多くのお金を貯め込んできました 皆さんもそうでしょうが 今はお返しする時です 「お返しをする」 すなわち 「もらいすぎた」ということです (笑)(拍手) バフェット氏がある日 目覚めた時の話が頭にあります 彼は推測より300億ドルも多く 持っていたことに気づいて こう言ったとか― 「僕はこのお金を何に使うんだ?」 「誰かこれを本当に 必要としている人にやろう ビル・ゲイツだな」 (笑) また ニューヨークにいる 私のファイナンシャル・アドバイザーは 「君は馬鹿な男だ お金をすぐ人にシェアせず お金でお金を生むようにしたら 今頃4.1倍になっていたかもしれない」 と言いますが 私はシェアして皆の生活を 良くするのが好きなんです (拍手)


13:48


一時 私はMITで MBAの教育に携わっていましたが ある日 結論を得たんです マウント・オーバン墓地― ケンブリッジの美しい墓地です そこを歩き回っていました その日は誕生日で 考え事をしていました その時初めて 墓石や 偉業を成し遂げた 素晴らしい人々の名前を見ました そして思ったんです 私はどう思い出されたいか?と そしてもう一回りしました 2周目には 別の問いが浮かびました もっと良い質問です つまりそもそも なぜ私は思いだされたいんだろうか?と (笑) 思うに このことが私を変えました 50歳のある日 妻のフェルナンダと私は 午後一杯 座りこんでいました 焚き火をして これまでのあらゆるものを 火にくべたんです 38か国語に訳された本 何百もの記事 DVD その他あらゆるものです これは2つの点で役立ちました


14:41


第一に 5人の子供が 私たちの足跡や影から解放されました 私のしたことを 知らないんですからね (笑) 良いことです これもなくなります 子供をどこかに連れていって 「いつかこれが全て お前たちのものになるんだ」 (笑) 5人の子供は何も知りません 良いことです


14:59


第二に 私は過去の達成その他 諸々の足かせから解放されました 新しいことを いつでも始められるし 一からやり直してもいいんです 「人生終焉の日」を それに使うんです こう言う人もいるでしょう 「そんな時間があるんなら 出かけていって何でもできるね」と いやいや  もうビーチには行ったし サモアにもモルディブにも モザンビークにもね もう済ませちゃったんです ヒマラヤの山々にも 登りました シュモクザメを見に 海中60mにも潜りました ラクダの背で揺られ 59日かけて チャドからトンブクトゥまで行ったし 犬ぞりに乗って 磁北極にも行きました そう ずっと忙しかったんです 「死ぬまでにやっといたよリスト」 とでも呼びましょうか これ (笑)


15:50


この理屈に基づいて 最近の我が身を鑑みるに 定年退職した感じがしません 全くです ですから私は今 新しい本を執筆中です 3つの会社を この2年で新しく立ち上げました またこの学校システムを世界に 無償提供することに取り組んでいます 凄く面白いんですが 無料だと誰も欲しがらないんです それで10年間 この学校の理論的根拠を受け継いだ 公的システムを模索してきました 私たちの始めた 公立学校と同様のものです 評価も100点中43点から 91点まで上がりました でも無料だと 誰も来たがらないんです ですから有料にすれば 状況が変わるかもしれません でも学校の問題を解決することは 私たちがしたかったことの一つです


16:35


そしてこのことが教えてくれるのは 思うに こんな小さなことです 日曜の夜の過ごし方は 皆 学習してきました 家でメールしたり 仕事したりするんです しかしほとんどの人は 月曜の午後に 映画に行くことを学んでいません もし英知を探しているなら そういうことも学ばねばなりません そこで近年 私たちがしているのは 非常にシンプルなことです ちょっとした道具を使います 3回連続で「なぜ」と問うんです なぜなら1回目の「なぜ」は 上手く答えられるからです 2回目になると だんだん難しくなります 3回目には 答えられないでしょう― 「あなたはなぜ それをしているのですか?」 私が皆さんに残したいのはその種であり 皆さんもこれを実行してみれば 同じ疑問を持つでしょう 「なぜ?」と 「なぜ自分はこれをしているのか?」 そして願わくば その結果として 長い年月を経て 願わくば皆さんに もっと英知に満ちた未来が 待っていますように ありがとうございました (拍手)


17:44


クリス・アンダーソン:リカルド あなたは なんていうか クレージーですね (笑) 多くの人は クレージーと言うでしょう にも拘らず じつに英知に満ちている 私の考えをまとめると こうなるのですが― あなたの考えは 非常にラディカルです 例えば ビジネス界で この考えは 当面のところ 受け入れられていません おそらくこれを取り入れたビジネスが 占めるパーセンテージは 依然として非常に低いでしょう あなたは大企業が このアイデアを 1つでも実行したのを 見たことがありますか?


18:20


リカルド:ええ 時々見かけますよ 2週間くらい前にもね Virginグループでは 社員に言ったそうです 「ああ もう僕は君たちの休日を 管理したくない」と Netflixも あれこれ 少しやってますね ですが これが さほど重要とも思いません 発案者としては ちょっと見てみたい思いはありますが これは単なる 個人的な思いです 実際のところ 管理をなくすには とにかく信じてみることが必要です 管理下にある人で そんな覚悟のある人は ほぼいません 子供や 会社を違う形で 始めようとする人たちなら 持っているでしょうけどね


18:50


クリス:それが秘訣なんですね? あなたの観点を裏付ける証拠はある これが効果を上げた会社が ありますからね でも皆には勇気がないだけなんだ― (ヒュー!)


18:58


リカルド:インセンティブもないでしょう 経営者は90日単位で 結果を求められています 四半期報告書のことです 90日間の状況が思わしくなければ クビです 「すごいプログラムがあるんだ 私の代のうちには・・・」 なんて言ったら 「出ていけ」と言われるでしょう これが問題ですね (笑)


19:18


クリス:教育での取り組みは 信じられないほど奥深いものです 皆 自国の教育システムを 苦々しく思っています Googleなどのテクノロジーによる世界に 誰もがまだ追いつけないでいるんです Googleなどのテクノロジーによる世界に 誰もがまだ追いつけないでいるんです 子供たちはこの教育システムを経験し 今やあなたは確たる証拠を得ましたね つまり 成績の劇的な向上です これらのアイデアを推進するのに どんな手助けが必要ですか?


19:42


リカルド:良いタイミングの質問ですね 自分の考えの伝道者になろうとまでは 一度も思ったことがありません 言っておきますけどもね ふとしたことで見つけたんですが― 日本には すごく怖いグループがあるんです 「セムラリスト」といって 120社が加入しています 彼らは私を招いてくれました 怖々行ってます オランダのグループには 600の小さな企業が加入しています これはメンバーが独自で 運営しているものです 誤解も含まれているでしょうが それは構いません なるようになるでしょう 私が恐いなと思うのは 別のタイプです 「これはすごく良いよ 君もやるべきだ」 「システムを立ち上げ  資金をたっぷりつぎ込もう」 そうなると人々は 内容の如何を問わず やるでしょう


20:26


クリス:それからあなたは 人生に対して 人並み外れた疑問を抱きましたね それが燃料となって 多くの活動に駆り立てたんだと思います TEDや観客の皆さんに 何かご質問はありますか?


20:38


リカルド:僕はこういう時いつも お決まりの質問をします もとは息子が3歳の時に 私に尋ねたことなんですよ ジャグジーにつかりながら 訊かれました 「パパ なぜ僕たちは存在するの?」 質問したいことは 他にはありません これ以外の問いなどないでしょう これを応用したのが 例の質問3連発です ですから会社や官庁、その他の組織で 時間を費やしている時 こう考えてみましょう― 死の床でこう言う人が 果たしてどのくらいいるだろうか? 「もっと多くの時間を職場で過ごしたかった」 ですから必要なのは 「今」勇気を出すことだけなんです― 1週間後とか 2か月後とか 何かきっかけが できた時じゃなくて― 考えましょう 「なぜ それをやっているのか?」 全部やめましょう もっと他の事をしましょう それでうまくいくでしょう 今よりもずっと良い生活が 送れるでしょう もし行き詰まりを 感じているんならね


21:30


クリス:この良き日の終わりにふさわしい 奥深くてじつに美しい話でした リカルド ありがとう


21:36


リカルド:ありがとうございました


21:38


(拍手)

 

 

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組織チェンジメーカー
Ricardo Semlerは、苦労している機器メーカーを根本的に民主的で弾力のある(成功した)会社に変えた20年後、組織が賢明になることを望んでいます.Full bio

子ども達に食の教育を

 

0:11残念ながら ここで18分お話している間に 4人のアメリカ人が 死ぬのです 食が原因です

0:24僕はジェイミー・オリバー 34歳です イギリスのエセックス出身です この7年間ずっと 人の命を救うため 自分なりに努力してきました 僕は医者ではなく シェフです 高価な設備もなければ 薬も使いません 情報と教育だけです

0:50人生の最良の部分へと 結び付ける 家庭の中心に 食の持つ力があると 僕は強く信じています 現状は とてもひどいものです アメリカなんて最悪です 世界でも有数の不健康な国です

1:16ちょっと手を上げて下さい お子さんをお持ちの方 手を上げて下さい 伯母さんや叔父さんも 手を上げて下さい 殆どですね 結構です 過去4世代の大人達が 子ども達に与えたもの それは 親よりも短い 寿命です皆さんの子どもの寿命は 皆さんより10年も短いのです 原因は私たちが子どもに 与えている食べ物にあります アメリカ人の3分の2は 統計上 太り気味か肥満 まだ肥満でない方も いずれ そうなりますから ご心配なく

1:57(笑)

1:58そうでしょ? 不健康を示すデータは とても明確です みんな事件や殺人ばかり 恐れていて 新聞やCNNでもよく 報道されてますよね でも殺人は一番下なんですよ そうでしょ?

2:15(笑)

2:17(拍手)

2:22この赤の部分は全て 食に関する病気です 医者や専門家なら 知っている事です 食に関する病気が 今日のアメリカの 一番大きな死因だと これは世界的な問題です 最悪です 世界中に広がっています イギリスも すぐ後に続いています いつものことながら

2:46(笑)

2:50まだ追い越すまではいきませんが 革新が必要です メキシコ オーストラリア ドイツ インド 中国も 肥満と不健康の問題を 抱えています タバコ問題は 肥満よりずっと安上がり アメリカが負担する 肥満のコストは 医療費全体の10% 毎年1千5百億ドル 10年後には2倍になり 年間3千億ドルなると 予想されています 正直いって そんなお金ないでしょう?

3:24(笑)

3:27食の革命を始める為に 僕はアメリカにやって来ました 今こそ その時です 放っておいたら 大変なことになります 7年間ずっと アメリカで頑張ってきました 今こそ行動を起こす時です 問題の渦中にある ウェストヴァージニア州に行きました 全米で最も不健康な州— それは去年のランキングで 今年 最悪なのは別の州ですが 来年はまたそちらで がんばります

3:55(笑)

3:56ハンティントン ウェストヴァージニア州の きれいな町です 今では見慣れた 統計の背後にいる 個々の人間に 目を向けたいのです 僕が気に掛けている 人たちを紹介します 皆さんの隣人や 子どもとかわりません 親しくなった ブリタニーの写真です 16歳です 寿命は あと6年 原因は食生活です 現代的食生活になって 3世代目の彼女は 正しい食生活を知りません 家や学校で料理を教わらず 母親や祖母からも全くなしあと6年しか生きられません 食が肝臓を死に至らせます

4:38エドワーズ家のステーシーです 普通の家庭ですよ 手を抜いているわけではなくても 彼女も3世代目なので 家庭や学校で料理について習っていません 家族全員 肥満です ジャスティン 12才 体重約160キロ 彼はいじめにあっているんですよ 娘のケイティ 4才です 小学校にも行かないうちから 肥満です マリッサは問題ありません 皆さんと同じです でも肥満の問題を 抱えていた父親 彼女に見守られながら 亡くなりました 彼女の人生で二番目に 大切だった男性 叔父さんも 肥満で亡くなりました 彼女の義理の父も肥満です 問題は 肥満や食生活系の病気は 当人を傷つけるだけでなく すべての友人や家族 兄弟姉妹に影響するのです

5:25スティーヴ牧師です ウェストバージニア州ハンティントンでの 最初の協力者です この問題を間近に見る立場にいます 彼は亡くなった人を 送り出さなければならないのです 友達や家族 地域の人を 埋葬しなければならないことに うんざりしています 冬になると 3倍の人が亡くなります もうたくさんです これは予防できる病気  命の無駄です これが使われる お棺です こんなの大変です ドアの外にも運べません  真面目な話です フォークリフトで 運ばなくてはなりません

6:01私たちの食の風景は 家庭と学校と店からなっています これを理解して頂きたい ご存知かもしれませんが簡単に説明します 過去30年において この国を損なう何があったか? 率直に正直に言いましょう 現代的な生活様式です

6:18まず店から始めましょう ファストフードは国中を 乗っ取りましたよね 大手ブランドが持つパワーは この国ではとても大きいのです スーパーマーケットも同じです 大企業ですね 30年前 食材の大半は 地元生産で新鮮でした 今ではたいていが加工食品で 添加物など余分な成分で いっぱいです 食事の量も大きな問題です 食品表示も大きな問題です この国の表示はひどいものです この業界は 審査を 自分達で行っており内輪で規制管理を 行っているのです このような風潮では そんなのダメです 砂糖だらけのモノを「低脂肪」と 宣伝するなんてひどいものです

7:08次に家庭です 家庭で最大の問題は かつては 食事や 食文化を伝える中心として 社会を築いていましたがそれも過去のことで みんな外で仕事する ようになりました 生活様式の変化に応じて 全体像で見直す必要があります 一歩下がって バランスを 見直すべきです 30年間 これは放置されました これからお見せするのは どこにでもいるような家族 エドワード一家です

7:42(ビデオ) ジェイミー: 話し合おう これが全部あなたや 家族の体に入るんだよ 毎週 これが子どもの寿命を 縮めているんだよ どう思う?

7:57ステーシー: 今はただ悲しくって 落ち込んでいるわ でも子ども達に満足な人生を 生きてほしい でも これではそれができない だって私が殺してしまうから

8:09ジェイミー: そうだね でも それは止められるんだよ これが普通の家庭なんです 次に学校を見てみましょう 僕の得意分野でもあります 学校 学校って何? 発明したのは誰? 目的は何? 学校教育とは 創造性を育てたり 将来 仕事に就けるよう 教えるのが目的です 長い間 この狭い定義に 基づいていました そうですね? そこから余り進化せず アメリカの健康問題に 対処出来ていないのです 学校給食というのは 1日に3千1百万もの子どもが 1日2食 朝食と昼食を 年間で180日食べます 学校給食は大変重要だと 言えますね 状況から判断する限り—

9:06(笑)

9:11僕が不満をぶちまけるのを 皆さんお待ちのことと思いますが—

9:16(笑)

9:18その前に大切な事を言います これから3ヶ月で 魔法が起きることに 期待してます アメリカの給食おばさんや 給食コックさん 僕は彼らの大使となることを 約束します 何も彼らを非難しているのでは ありません 彼らは一生懸命やっています 最善を尽くしています 言われた通りにしているのですが その言われた事が間違っています 会計士に管理されたシステムで 食の知識がある人は ほとんど 全く関わっていませんこれが問題です 食の知識がなく 予算がきつくなれば 最近そうなっていますが 工夫のしようがありませんうまく問題をかわして 新しい事を考えることもできません 会計士で データを チェックするだけなら この状況下で出来る事と言えば 安い粗悪なものを買うことのみです

10:08現実に 子ども達が毎日食べているのは ファストフードです 高度に加工され 新鮮な食料はあまり 含まれていません 添加物やE番号の多さは 信じられないほどです 野菜だって まったく不足してます ポテトフライが野菜替わりです 朝食がピザ  ちゃんとした食器さえありません ナイフやフォークは?  危険すぎだと 教室にハサミはあります でもナイフやフォークはダメ 学校でナイフやフォークが使えなければ 地域行政のレベルで ファストフードを指示しているようなもの 手で食べられるから ファストフードですよ スロッピージョー ハンバーガー フランクフルト ピザ そんなものばかり 10%の医療費が 肥満に充てられ それが2倍になるわけです 子どもに教育していません 小中学校で 子どもに食育を行うよう 定められていません 食の教育をしてないでしょう? これはある小学校での映像ですが イギリスでは普通の光景です

11:12ビデオ:「これが何かわかる人?」

11:14子ども:「 ジャガイモ」 ジェイミー:「ジャガイモ? これはジャガイモだと思う?」 「これが何かわかる?」 「これが何かわかる?」  子ども:「ブロッコリー?」

11:21ジェイミー:「これは何だと思う?」 ジェイミー:「君は これ何かわかる?」  子ども:「セロリ?」

11:25ジェイミー:「違う これは何だと思う?」  子ども:「タマネギ」 ジェイミー:「タマネギ?違う」

11:28ジェイミー: すぐに解りますね 子ども達は食物がどこから来ているか 知らないのです

11:34ジェイミー:「これを知っている人?」  子ども: 「エーッと 梨」 ジェイミー:「これは何だと思う?」  子ども:「知らない」 ジェイミー: それが何か知らなければ 食べることもありません

11:44(笑)

11:45ジェイミー: これが普通なんです イギリスでもアメリカでも どうやったら直せると思いますか? 1時間の授業2回で 子どもに学校で 食の教育を与えればいいんです

12:00(拍手)

12:05皆さんに お話ししたい ことがあります 僕らの問題を典型的に 示す例です とても基本的なモノ 牛乳です全ての子どもが学校で牛乳を飲みます 皆さんの子どもは学校で朝食と昼食に 牛乳を飲みますね? 牛乳を2本 ほとんどの子どもがそうです でも牛乳は以前程よくないのです 僕は牛乳自体は支持しますが 牛乳業界の誰かが どこかの誰かに大金を払って 香味料や着色料 砂糖を 山ほど牛乳に入れたら 子どもがもっと牛乳を飲むようになると 発見したのです

12:42(手をたたく)

12:43もちろん これを真似する業界が 出てくるでしょう りんご業界も リンゴ飴を提供して 子ども達が もっとリンゴを 食べるようにするかもしれません どういう事かわかりますか? 牛乳に味をつける 必要などないのに 何にでも砂糖が入っていますね? 僕はこのようなものの 一部始終を知っています 全てに入っています 牛乳さえ例外でない ある意味 現代的問題です 僕たちの牛乳 1カートンには 皆のお気に入りの缶ジュースと 同量の 砂糖が入っているのです 子どもはこれを日に2回飲みます お見せしましょう 子ども1人1日に大匙8杯の砂糖を摂取します これが1週間分 これが1ヶ月分 小学校で摂取されるー 5年分の砂糖をここに 集めてみました 牛乳分のみです 皆さんはどうかは知りません 状況から判断して 世界中の法廷で 統計や証拠を見たら こんな事を許す政府は 幼児虐待の罪に問われるでしょう

13:55僕はそう思います(拍手)

14:04僕が今日 ここに来て エイズや癌の治療法を 発表したのだったら 皆さん 競って 僕の話を聞きに来るでしょう この問題が違うのは 予防可能ということです これは喜ばしいことです まったくもって予防可能なのです 僕らは問題を抱えており 頭の切り替えが必要です 世界で 何をする必要があるでしょう? ここが問題です 一つの所だけでやっても 駄目なんです 気持ちを新たにして 形のある変化を起こすには 皆さんの目を見てこう言えるには 「ここから10年 正しい食生活を続ければ 長生き出来て お子さんの命や幸せも変わって来るのですよ」

14:50次にスーパーを見てみましょう 私たちはみなスーパーで 沢山買い物をします 毎週毎週 一生のうちに スーパーで いくら使うでしょう 欲しいモノはスーパーで 何でも手に入りますよね 食の大使を全てのスーパーに 配置するくらい やって欲しいものです 彼らは買い物を手伝い  忙しい人の為に 手早く作れる おいしい 季節の料理を 教えるのです そんなに費用はかかりません 数カ所で行われていますが アメリカ全土で 今すぐ行う必要があります 大手食品ブランドは 食の教育を 事業の中心に据えるべきです 口で言う程簡単ではないですよ でもそれが 未来への 唯一の道です

15:33ファストフード業界は とても競争が激しく 僕はファストフードにおける 山ほどの機密情報や 取引を見ました どうするか知っています ファストフード業界は僕らを 砂糖や塩分 脂肪分や その他のものに依存させるのです 皆さんファストフードが 大好きですね? だから彼らも問題解決に必要です それにはまず政府が 飲食業界に働きかける 必要があります そして5年 6年 7年の間に もの凄い量の脂肪分や 砂糖への依存から 脱却するようにするのです

16:08さて 大手ブランドの 食品表示の話ですが 前にも言ったように まったくデタラメです なんとかしなければなりません まず 学校 学校では当然 生徒に 1年に180日間ー 可愛い4歳児から 18 20 24歳程になるまで 新鮮な地元の食材を 調理して提供するー 義務があります 子どものための新鮮で適切な食事の 基準が必要です

16:38(拍手)

16:43この状況下で重要なのは すべてのアメリカの子どもが 卒業までに 生きていく力になる レシピ10種を 覚えることです ライフスキルです

16:55(拍手)

16:56つまり学生であろうが 若い親であろうが 料理の基本を いろいろ応用できれば 次にどんな恐慌が訪れても大丈夫です 料理が出来れば 時は 問題ではなくなります 職場については 取り上げていませんでした 企業責任として 従業員に何を与えるのか 見極める時です 従業員はアメリカの子ども達の 母親であり父親ですマリッサの父親は 彼女に手を握られながら息を引き取りました アメリカ企業が従業員に まともな食事を与えるようになれば 彼女も報われるでしょう 企業を取り残すべきではありません 家庭の話に戻りましょう

17:37全てやり遂げられる範囲であり 配慮しながら商業的に行うことも 可能です でも家庭で料理を始めることは 欠かせません 価値観として伝えていくのです 理想主義と思われるかもしれませんが 1人が3人に料理の仕方を 教えたとし その人がまた3人の友達に教え これを25回繰り返すだけで アメリカの全国民に行き渡ります 理想主義と言われても結構 でも 一番重要なのは 1人ひとりの努力が 違いを生み出すということを 皆が自覚することです 無くしたものを 取り戻さねばなりません ハンティントン・キッチン  ここが番組の舞台で ゴールデンアワーに 放送されました それが人々に変化を与えることを 期待します 僕は変化がおきると信じています ここでは コミュニティーと 仕事をしています 学校で働き 地元で 持続的な資金も見つけ 地域のすべての学校を ジャンクフードから新鮮な食事へと 移行させます 1つの学校につき 6千5百ドルです

18:39(拍手)

18:40たったそれだけです 学校ごとに6千5百ドル キッチンの維持費は 月2万5千ドル これで年間5千人を 教育出来ます 街の人口の10%です 人から人へ 地元のコックが 地元の人に教えます 目抜き通りの 無料の料理教室です これは本当の実質的な変化です アメリカ中どこで振り返っても 素晴らしいことが 沢山起きています 沢山の美しいことがあります アメリカ中で支援者が 活動しています 農場から学校へ 農園の手配や教育 素晴らしい人たちが 既に動いています 問題は彼らがやっていることを 次の学校へと展開したくても 資金がないことです 急いで専門家や支援者を見つけ 彼らが既に行っている事を もっと簡単に展開できるよう 援助すべきです アメリカの企業が 支援すべきなのは オバマ夫人が やろうとしていることです

19:44(拍手)

19:50変ですよね イギリス人がここで皆さんに こんなことを言うなんて でも僕には関心があり そして父親であり この国が大好きです 心から信じているのはー もしこの国に変化が起きれば 世界中が変わるということ  アメリカがやればー 他の国々も続きます 大変重要です

20:14(拍手)

20:21ハンティントンで うまく行かなかった時 「僕に魔法の杖があったら どうするだろう?」と考えました「アメリカの最も素晴らしい 実力者たちを前にして立ちたい」 その1ヵ月後 TEDから電話があって この賞をもらうことになり この場にいます では 僕のTEDの願い— 失読症なので 読むのが遅いのを ご容赦ください 僕の願いは 全ての子どもに ちゃんとした 食の教育をし それによって 家庭が再び 料理に目覚め肥満と戦う力になるよう 皆さんから支援して頂くことです

21:20(拍手)

21:30ありがとうございます

21:32(拍手)

 

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Chef, activist
ジェイミー・オリバーは私たち自身と子供たちの食育の方法を変えています. Full bio
 

 

 

 

100年続くビジネスの構築方法

戦略家
BCGのMartin Reeves氏は、さまざまな業種のグローバル企業と戦略的に協議しています.Full bio

 

0:11


皆さんが製品開発に 携わっているとしましょう 製品をデザインしました 今までにない製品で 「ヒトの免疫システム」と言うものです 皆さんは この製品を 疑り深く 生真面目な上司に提案します 名前はボブとしましょう 皆さんの周りにも 1人くらいいるでしょう? さあ どうなるでしょう?


0:34


ボブ すごいアイデアがあるんです 全く新しいタイプの 個人用の健康商品で ヒトの免疫システムと名付けました なにやら難しい顔をされていますね でも 心配無用です 複雑なのはよく分かっています 事細かな説明をするつもりはありません ただ この製品の素晴らしい特徴を いくつかお伝えしたいのです まず この製品は賢くも 「余剰性(Redundancy)」を使います 各部品のコピーを 百万単位で用意しています 白血球や白血球細胞など それらが実際に必要になる前に 不測の事態に備えて 大幅に余裕を持たせているのです さらに すごいことに 「多様性(Diversity)」もあります 白血球だけではなく B細胞やT細胞 ナチュラルキラー細胞 免疫体があります そこに何があるかは あまり関係なく 重要なのは これらが一緒になって 多様なアプローチを可能にし 進化の過程でなしうること ほぼ全てに対応できるということです また この製品は完全な 「モジュール式(Modularity)」です 皮膚という表面のバリアがあり 瞬時に反応する自然免疫システム さらに 対象をかなり絞った 適応免疫システムがあります ここで重要なのは もし一つのシステムが対応できなくとも 他でカバーすることで 事実上 完璧なシステムとなる点です


1:54


頑張ってついてきてくださいよ ボブ ここからが 秀逸なんですから 「適合性(Adaptation)」があるんです これまでに出会ったことすらない抗原に 対抗できるような免疫体を 実際に作ることもできるのです また特筆すべきは これを行う上での 「思慮深さ(Prudence)」です あらゆる小さな脅威を 見つけたり 対処したりし 更には 今後また出会う可能性を考慮して これまでの脅威を覚えておくのです 今日 私がご提案する製品は 実は それ単体で使うのではなく 「組込み式(Embedded)」で 人体という大きなシステムに埋め込むものです この製品は 既にあるシステムと 調和しながら これまでにないレベルの 生物学的な保護を作り上げるのです ですからボブ 正直に教えてください この製品をどうお考えですか?


2:47


するとボブは こう言うでしょう 君がこのプレゼンにつぎ込んだ 努力と情熱を 本当にありがたく思うよ かくかくしかじか―


2:56


(笑)


2:58


でも正直言って ナンセンスだよ 話を聞くところによると 君の製品のセールスポイントは 効率が悪くて複雑なことみたいだ 80–20の法則を習っただろう? それに この製品はサイロ化してるって 言うじゃないか 過剰反応して 新しいものを作っていって 他人の利益になるよう デザインされている 申し訳ないけれど 成功するとは思えないよ


3:26


もしボブの考えに同調するなら もっと効率的な免疫システムを 作ることができるでしょう 短期的に見れば 効率性は常に重要です 単純で 効率的で お金に見合う以上の効果が得られる そんな製品にダメとは言いませんよね? 残念ながら ごくごく小さな問題があります この製品を使う側の 皆さんや私がおそらく 冬が来たら1週間も経たないうちに 死んでしまうんです 新型のインフルエンザウイルスに 出会っただけでです


3:56


生物学とビジネス そして寿命とレジリエンスとの関係に 私が最初に興味を持ったのは グローバルなテクノロジー企業のCEOから 大変珍しい質問をされた時のことです その時の質問は 「我々の会社が百年続くには 何が必要だと考えますか?」 無邪気な質問のようですが 想像するよりも 少し難しい質問なんです と言うのも アメリカの公開会社は 平均寿命がたった30年だからです そこで働く従業員の寿命の 半分もないんです


4:38


そのような会社のCEOとして 出資者にせっつかれ 変化に打ちのめされたとしても 30年後の将来に 思い悩まないからと言って 非難はされないかもしれません でも これを聞くと 夜も眠れないかもしれません あなたの会社が 5年すらもたない可能性です 平均して32パーセント 信じがたい状態です これは3分の1の確率で 5年以内に会社が乗っ取られたり 倒産することを意味しています


5:12


ここで技術会社の CEOの質問に戻ります こういった話は 自然界に聞いてみるのが得策でしょう どんな会社よりも 長い間 生と死を 繰り返しているんですから えせ生物学者の私は 早速 本物の生物学者に 連絡してみることにしました 友人のサイモン・レヴィンです プリンストン大学の 生物学と数学の教授です 彼と一緒に調べたのは 生物界のあらゆるシステム 自然界の熱帯雨林から 人が手を加えた森林や漁場まで そして 次のように問いかけました 何がこれらのシステムを レジリエントで永続的なものにしているのか?


5:55


私たちが見つけた答えは あの6つの法則― 先ほどお話しした ヒトの免疫システムの奇跡を支える法則を 常に繰り返しているということです 余剰性から その組込みまで 実際にこの原則は 生物学的に 長期間続いているシステムだけでなく 長く息づいている 社会システムの特徴として 見出すことができます 例えばローマ帝国カトリック教会です 驚かれるかもしれません 私たちはビジネスにも掘り下げていき 全く同じ原則が レジリエントで恒久的なビジネスの 特徴として見出せ これが不在の場合には 短命に終わるということが分かりました


6:38


それでは まず 企業の免疫システムが 失敗した例を見てみます この美しい建物は 四天王寺の一部で 日本の大阪に所在します 実は日本でも 最も古い寺院の一つで 韓国人の工匠の手によって 建てられました 当時は日本にお寺はなかったからです この工匠らが寺院建設の会社を 立ち上げたのです 驚くべきことに この会社 金剛組は― 1,428年も続きました 事実 現存する世界最古の 会社になりました


7:20


では金剛組の現在の様子は どうでしょうか? 残念ながら 思わしくありません 日本のバブル景気の時期に 不動産への投資をするために 多額の借金をしましたが バブルがはじけたことで ローンが返せなくなりました 経営は破たんし 大手の建設会社に 身を委ねたのです 不運にも 40代にわたる金剛家の 慎重な経営の後 金剛組が失敗してしまったのは 思慮深さという原則を適応しないという ミスをしてしまったからでした


7:59


企業の失敗と言えば コダックの失敗が有名でしょう 倒産を発表したのは 2012年の1月のことでした もっと興味深いことがあります 富士フイルムは 同じ製品を扱い 同じデジタル技術の重圧の下 同じ時期に存在していながら なぜ生き残り かつ成長することができたのか?


8:29


富士フイルムは 自らの 化学、材料科学、光学分野の技術を 実に様々な分野に転用したのです 化粧品から薬品 医療システムから生体材料までです もちろん 幾つかの分野では 失敗してしまいました しかし全体としては 自身のポートフォリオを 十分に適応させ 生き残り 成長できたのです 富士フイルムのCEOである 古森重隆が言われたように ライバル企業よりも 「多くのポケットと引き出し」があったことで この戦略は成功したのです 彼が意味するところは ライバルに比べて より多くの 選択肢を作ったということでしょう 富士フイルムが生き残れたのも 思慮深さと多様性 適応力の原則を 駆使したからです


9:20


ご覧のような 壊滅的な工場火災が たった一夜で 焼き尽くしたのは 自動車ブレーキシステムのバルブを トヨタに供給する唯一の工場でした レジリエンスに対する究極の試練です 車の生産自体が ギーッと急停止しました それではトヨタはどのようにして 車の生産を復活させたのでしょうか? どれくらいかかったと思いますか? ほんの5日間です ブレーキバルブが全くない状態から 完全に立ち直るまで5日間です どう成し得たのでしょう? トヨタサプライヤーと 強固な連携体制を築いており トヨタの迅速な行動で 複数のサプライヤーから協力を得て 足りないブレーキバルブに 生産能力を振り替えることで 車の生産を再開できたのです トヨタは この原則を用いました 「モジュール式」の供給網 統合システムに「組込み」 そして― 機能的な「余剰性」で スムーズに既存の能力を ほかに転用しました


10:33


幸いにも 破壊的な火災によって 潰れてしまう会社は 多くありません でも新聞で毎日 目にするのは 破壊的技術によって 潰れてしまう会社でしょう それでは どうやって メガネレンズの大手 エシロールは 破壊的技術を免れるだけでなく そこから利益を得られているのでしょうか? そうです 破壊的技術は ソフトウェアと電子機器業界固有の 問題ではないのです エシロールは 競合環境を丁寧に調査し 破壊的技術になりそうなものを 見つけます そういった技術を 非常に早い段階で買収し 技術が高騰したり 競合会社が集まってくる前にです そして そういった技術を 自身で開発して行きます 失敗や自己破滅のリスクを 負ってでもするのです エシロールは 常に他者の先を行くことで 素晴しい成果を上げています 40年以上もです 思慮深さと適応性の原則を 使っているのです


11:34


オーケー ではこの原則が そんなにもパワフルなら ビジネスにおいて どうしてこれが常識ではないのか? なぜ この言葉を頻繁に耳にしないのか? 変化とは人の内側から 始まるものでしょう ボブへの売り込みを思い出してください ヒトの免疫システムの奇跡に 基づく原則を適用するには ビジネスについての考え方を まず変える必要があります 私たちは 普段 ビジネスについて考える際に 「機械的な考え方」をしています ゴールを設定し 問題を分析して 計画を立てて それを着実に実行する そして何よりも 効率性と短期的な成果を優先します ただ誤解しないでくださいね これは比較的 安定した環境で 比較的 単純な問題に取り組む際の 本当に実践的で効果的な方法なんです これは ボブだけでなく おそらく私を含めた多くの人が 日々 直面している ほとんどの問題を処理する方法でしょう 実際 ビジネスにおいて かなり良いメンタルモデルではありました 全体として― 80年代半ば頃まででしょうか グローバル化 そして テクノロジーと電気通信分野の革命で ビジネスが よりダイナミックで 先が見えなくなった時です


12:48


しかし現在の私たちが 数多く直面している よりダイナミックで 先が見えない状況ではどうでしょうか? 私が考えるに 機械的な考え方に加えて 6つの原則に代表される 生物学的 考え方を マスターする必要があります 言い換えれば 私たちは より謙虚に そして繊細に いつ、どうやって 先が見えない複雑な状況を コントロールするのではなく 方向づけていくかを 考える必要があります ちょっと似ているのが ボールを投げることと 鳥を放つことです ボールはターゲットに向かって 直線を描くでしょうが 鳥なら そうはいかないでしょう


13:34


皆さんは どうお考えですか? 少しばかり非実践的で 理論的だと 思われているでしょうか 実はそうではありません 小さなベンチャー企業は どこも 自然と生物学的に考えたり 行動したりしているんです なぜか? 無理やり 周りの環境を変えるほどの リソースがないからです 変化を受け止める規模もなく スタートアップ企業の 生き残りという難題を 常に考えているのです もちろん皮肉な点は あらゆる大企業は 昔は小さなベンチャー企業だったわけです ところが いつからか 多くの企業が生物学的に考え 行動する能力を失っています 兼ね備えていた 生物学的に考える能力を 活性化させる必要があります そうして こんにちの厳しい環境で 生き残っていくのです


14:27


ですから短期的な成果だけを 考えるのはやめましょう 私が知っている企業だけでも 実際かなりの時間を割いて 戦略の中心となる問題を考えています 「我々は このゲームで有利か?」 それに加えて もう一つ 考えてみましょう より生物学的で 同じぐらい重要な問題です 「このゲームは いつまで続くだろう?」


14:48


ありがとうございました


14:49


(拍手)

 

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戦略家
BCGのMartin Reeves氏は、さまざまな業種のグローバル企業と戦略的に協議しています.Full bio

どうすれば成功する? もっと寝ましょう

 

0:11私の大きなアイディアは とてもとても小さなものですが 我々の中に眠っている 何百万のより大きなアイディアを 解き放つことが出来ます その小さなアイディアとは 睡眠です

0:27(笑)

0:29(拍手)

0:33この会場にいる多くの皆さんは バリバリ働くタイプの女性 睡眠不足になりがちな女性です 私は睡眠の大切さを 身をもって学びました 2年半前 私は 疲労から意識を失いました 頭を机に打ち 頬骨を骨折し 右目の上を5針縫いました こうして私は睡眠の大切さを 再発見する旅に出たのです この旅路の途中 医者や科学者に会って 学んだことを 皆さんに申し上げます より生産的で エキサイティング かつ喜びに満ちた人生をもたらすものは 十分な睡眠なのです

1:17(拍手)

1:22私たち女性が この新たな革命の指揮を取るのです 眠ることによって トップの座を得るのです

1:32(笑)

1:34(拍手)

1:39残念ながら男性にとって 睡眠不足が 男らしさの象徴になっています 先日ある男性と食事をしたのですが彼は前夜4時間しか寝てないことを 自慢げに語っていました 口にはしてませんが 心に思ってたのは 「なにそれ? もし5時間 寝てたらこの夕食ももっと 盛り上がっていたのにね」

2:03(笑)

2:06今日では睡眠不足が 流行っているようです 特にここワシントンで朝食デートを する際に「8時でどう?」と訊くと 大抵の場合は「8時は遅すぎるな まぁいいや テニスをして電話会議も 済まして8時に会いに行くよ」となります こう言うことで彼らは自分が 超多忙で超生産的であると 信じていますが これは誤解です ビジネス界 ファイナンス業界 政界にも目茶苦茶な 意思決定を行う ご立派な リーダーが大勢いますからね I.Q.が高ければ 優れたリーダーであるとは限りません リーダーに求められるのは タイタニックが衝突する前に 氷山を見つけられる力です 我々は途方もない数の氷山を タイタニックにぶつけてきました

2:57もしリーマンブラザーズが リーマンブラザーズ&シスターズだったら 破綻しなくて済んだのではないかと私は思っています (拍手) ブラザーズ(男性)がみな忙しく 休みなく24時間で働き続けている中 シスター(女性)は氷山に気づいたかもしれません 7 - 8時間の睡眠から目覚めた彼女なら 物事をもっと大きな視野で 見ることが出きるからです

3:24現在私たちは 世界中で いくつもの問題を抱えています 一人一人にとって良いこと 人生に より多くの喜び 感謝 充実をもたらし キャリアにも最善を尽くすことが 世界を良くすることでもあるのです ですから皆さんはどうか 目を閉じて 内に眠る 素晴らしいアイディアを見つけ エンジンを切って 睡眠の力を発見してください

3:57ありがとうございました

3:59(拍手)

 

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Journalist
Arianna Huffingtonは、全国的にシンジケーションされたコラムニストであり、13冊の本を執筆しているThe Huffington Postの共同創設者兼元編集長です。 彼女は、政治的な円卓会議のラジオ番組「Left, Right & Center」の共催者です. Full bio

 

絶対に諦めない

ジャーナリスト、スイマー
記録的な長距離の水泳選手、ダイアナ・ニヤドはモチベーションについて深く執筆し、考えている. Full bio

0:15


この海岸に立つのは5回目になります キューバの海岸で 遠くの地平線を見ながら 再び確信しています この広大で 危険に満ちている大海原を 泳いで渡りきれることを 私自身の4回の試みだけでなく 世界中のトップクラスの泳者が 1950年以来挑み続けているにもかかわらず まだ誰も達成できていません


0:48


私のチームは 4回の試みを誇りに思っており 30人ほどの支援チームです リーダーは 親友のボニーで 私を力づけてくれます 失ってしまったかと思われる かすかに残った闘志を 何時間 何日間も泳ぎ続けたあの海で 呼び覚ましてくれるのです チームのサメ専門家は世界一です サメは水面下で私を狙っています 世界一強力な毒を持つハコクラゲは この海域を棲みかとしており 前回の試みでは 危うく命を落とすところでした 環境自体も苛酷です 160キロ以上もある距離は もちろんのことですが 海を渡るということは 潮の流れや 渦巻き そして地球上で最も予測の難しい メキシコ湾流もあります


1:44


ところで 面白いことに このような挑戦の前になると 記者とか他の人に よく こんな質問をされるんです 「ボートとか 支援者とか 一緒について行くの?」って いったい何を 想像しているのでしょう? 一人で星を見ながら泳ぐ方向を修正し 格闘用ナイフを口にくわえ 魚を捕まえ 皮を剥いで その肉を食べ 脱塩造水装置でも引っ張って泳ぎ 飲み水を作ると思うのでしょうか (笑)


2:21


もちろんチームを連れて行きます(笑) チームはプロの勇敢な仲間たちで 問題に画期的に取り組み 科学的な発見をしています 世界の どの有名な探検とも同じです


2:38


彼らとは共に長い道のりを歩んできました 古代ギリシア時代から常に 冒険の意味は何か 討論されてきました 人生の目的はゴールではなく その道のりではないでしょうか? この道のりは 本当に スリルに満ちています まだ 対岸には着いていませんが それに対する誇りと決意は 断固としたものです 60歳になっても 夢を失いませんでした 20代のときにチャレンジし 夢に見、心に描いていました 今日 世界で最も注目されている キューバとフロリダ間の海峡を 思い浮かべました とても深く 私の心に根付いているんです 60歳になったとき スポーツ界で偉業を成し遂げたいとか 誰よりも先に渡ることを 自慢したくてやったのではありません もちろん それもありましたが それよりも深い目的があり 残っている人生を考えたのです 事実 私たちは皆 人生の終わりに向かって進んでいます そこで 何をするか? 一体何をして進めば 後で振り返った時に後悔しないか? 去年 トレーニング中に これにぴったりな セオドア・ルーズベルトの言葉を いつも思い出していました こんな言葉です 「心地良い椅子に座って 人のやることを 批判したり 傍観するだけでも良いが 勇気のあるものは 実際に参加し 傷つき 泥まみれになり 幾度となく失敗しても 恐れず 迷わずに 勇敢に生きるものだ」


4:21


もちろん 向こう岸まで泳ぎきりたかった それが目的ですから 実の所 ― 今年は道のりより 目的地に到達したことが もっとステキでした (笑)(拍手) でも その旅自体も とても価値があったのです この時点で 今年の夏のことですが 科学者 スポーツ科学者 トレーニングの専門家 脳神経学の医者 それに 私のチームのボニーにも これは無理だと言われました とても不可能だと でもボニーは こう言いました 「この旅に出ると決めたら 私も最後まで付き合うわ 一緒にやろう」


5:06


そしてスタート地点に立ったのです 沖を眺めると まるで別世界にいるようでした 最初の1かきを始める前に マリナ・ヘミングウェイの岩の上から キューバの国旗が風に揺れ チーム全員がそれぞれのボートの上で 拳を上げて「ここにいるよ 一緒に行くよ」 と言ってくれているのが見えました ボニーと目を合わせて口にしたのは 今年の目標として トレーニング中に繰り返してきた言葉です 「目標に向かって道をみつけよう」 夢があれば 誰しも 前途に 立ちはばかるものがあります 人生には必ず 悲しみや戸惑いが あるものです でも自分を信じて 希望を失わず 打ちのめされても 立ち上がることができ 忍耐とは私たちに与えられた 素晴らしい特性であると思えれば 道はみつかるのです ボニーは私の肩をぐっと掴むと 「フロリダまでの道を 一緒にみつけよう」と言いました


6:12


そしてスタートしました そこから始まった53時間は 強烈で 忘れる事が出来ない経験でした 素晴らしいものは 本当にすごいんです 宗教は信じないタイプなのですが メキシコ湾流の真っ青な海を泳ぎ 息継ぎしながら 永遠に続く景観を眺めると 青い地球への畏敬の念を 抱かずにはいられません 本当に素晴らしいものです 頭の中のプレイリストには85曲ほどあって 特に真夜中になると 明かりは全く使わないので ― 明かりにはクラゲが集まるし サメもやってきます サメは明かりに集まる 魚が目当てです だから 真っ暗な闇の中を進みます こんな真っ暗な闇は 誰も経験がないと思います 自分の指先も見えなければ ボートの仲間も見えません ボートにいる ボニーとチームの仲間は 私の腕が水面を叩く音から 私の位置がわかるのです 見えるものは何もありません そんな中で自分のプレイリストに 陶酔していました (笑) きついゴム製の水泳帽を被っているので 何も聞こえません ゴーグルをつけ 頭を1分間に50回ひねりながら 歌をうたっています ♪ 想像してごらん 天国なんてないと ♪ ♪ ルルルルルー ♪ ♪ やってみれば 簡単だよ ♪ ♪ ルルルルルー ♪ これは千回でも続けて歌えます (笑) これも才能でしょうね (笑)(拍手) いつもこの部分を歌い終えると ♪ ああ 僕を夢想家だと思うかもしれないが 僕だけじゃない ♪ 222回目 ♪ 想像してごらん 天国なんてないと ♪ そして ジョン・レノンの『イマジン』を 千回を歌い終わると そして ジョン・レノンの『イマジン』を 千回を歌い終わると 9時間45分泳いだところでした きっかりです


8:15


そこで問題がやってきました 必ずやってくるものです まず嘔吐が始まります 海水のせいで 気分が悪くなり クラゲから完全防護するための マスクを頭から被るので 泳ぎにくいんです 口の中は擦れて痛いのですが クラゲの触手にはやられません それに体温が下がります 水温は29度 それでも体重が減り カロリーを消耗しています ボートに近づいても ボートに触れてはいけません 上がることもできませんが ボニーと支援チームは 食料を手渡し 私の具合を確認してくれます 実は目の前に タージ・マハルが見えていたんです 精神的に全く違うゾーンにいて スゴイ なんて思っていたんです こんな所でタージ・マハルに出くわすなんて すばらしい景観です あの建設には何年かかったのだろう? ちょっと 頭がおかしいですね(笑) 鉄則のようなものですが この先どれくらいかかるとかは 知らされません 実際 誰にもわかりませんし この先 何が起こるかもわかりません この先 何が起こるかもわかりません 天候や潮の流れ それに 絶対あってはならないのが クラゲにやられることです これだけ体をカバーしていても 刺されるかもしれません でもボニーの決断で 3日目の朝のことですが 私が苦しんで やっとの思いで泳いでいるのを見て 私をボートの側に呼び寄せると 私をボートの側に呼び寄せると 「あそこを見てごらん」と言ったのです 明かりが見えました 夜より 日中の方が楽なので 朝になるのを嬉しく思いました 一列に並んだ白っぽい光が 水平線上に見えました 「もうすぐ夜が明けるね」と言うと ボニーは答えました 「違う あれはキー・ウェストの明かりよ」 あと15時間でフロリダに到着するのです 普通の泳者にとっては 長い時間でしょうが (笑)(拍手) 15時間の水泳トレーニングなら 慣れっこです


10:25


もうすぐです なぜか無意識のうちに 水をかく回数を数えるのを止め 歌うのも スティーヴン・ホーキングの 言葉や 宇宙のパラメータを考えるのもやめました この夢について考え始め なぜ どうやって夢を追ったのかが 頭に浮かびました ことの始まりは60歳になった時だと お話ししましたが 「できるだろうか」という 単純なものではありません 日々の計画と 自制心 それに準備 それに対する誇りもあります でも 次第に こう考えようと思いました 「星まで届け」という言葉がありますが 私の場合「地平線まで届け」だったのです そして 私のように「地平線に届いた」とき 届かない人もいるかもしれませんが その過程で人間的にも精神的にも ものすごく成長するんです 地平線を目指しながら築く 人間としての土台は 計り知れないものです


11:28


対岸が迫ってきました 少しだけ悲しい気持ちにもなりました 壮大な旅が終わってしまうんです


11:36


今ではいろんな人に言われます 「次は何?あれはすごかった!」 コンピューターで 私の泳ぎを追っていた人でしょうか? 「今度はどこを泳ぐの? 次の挑戦も応援するのが楽しみ」 この方たちが参加したのは53時間だけ 私は何年間もかけて挑戦したんです もう海を渡るような 壮大な旅はないでしょう


11:57


でも大切なのは 人生 1日1日が壮大だということです あの海岸に上がった時 というか 這い上がった時 以前から何回も 偉そうなスピーチを 練習して準備してありました ボートで並走していたボニーが 私の喉の奥が腫れてきたと心配した時 医療チームをボートに呼んで 呼吸に支障が出始めていると 相談していました あと半日 か1日 海にいたら 喉全体が腫れて 「気管切開」だなんて ボーっとしながら聞いた覚えがあります (笑) でも そこでボニーが医者に言ったのは 「呼吸が出来るかは心配じゃないけど 岸についてスピーチができなかったら 彼女 カンカンになるわ」でした (笑)


12:56


でも実際 用意したスピーチは 遠泳のトレーニングの モチベーションになったのですが 遠泳のトレーニングの モチベーションになったのですが 本番は全く違いました とても感動的な瞬間でした 沢山の人やチームもいました 成功したんです 私の成功ではなく 皆の成功です 忘れる事はありません 永遠に私たちの一部となるでしょう


13:16


岸に着いた時 なんとか口から出たのは 3つの言葉です まず1つ目は 「決して あきらめるな」 私のモットーです ソクラテスも言っていましたね 「存在は行動なり」 皆さんに「決してあきらめるな」と 口で言うだけではなく 実際あきらめず 行動で示せたと思います


13:37


2つ目は「夢を追いかけるのは 何歳になっても遅くない」です 64歳が 年齢・性別を問わず 誰にも達成されなかったことを やり遂げたんです 今こそが 人生の盛りだと確信しています 今こそが 人生の盛りだと確信しています (拍手) そうです ありがとう


14:02


3つ目に岸に着いたとき言ったのは 「こんな孤独な挑戦は 他に例がないように見えるでしょう いろいろな意味で そうなんですが 別の意味 ― 最も大切な意味では これはチームの勝利です 私がすごいと思うなら ボニーを見て下さい」 (笑)


14:19


ボニー どこですか? どこにいますか? 彼女が ボニー・ストールです(拍手) 大切な親友です


14:32


ヘンリー・デイヴィッド・ソローが こう言いました 夢を達成するとき大切なのは 何を手に入れるかではなく その過程でどのような人間に なったかということだ 私は こんな風に皆さんの前に立っています 遠泳を達成してから 3ヶ月のうちに オプラの番組に出演し オバマ大統領の ホワイトハウスの執務室にも招かれました 皆さんのような方々の前で 話す機会にも恵まれ 大手の出版社と 本の契約も結びました これらは全てすばらしく 軽視するわけではありません 全てうれしく思いますが でも こうやって胸をはっていられるのは あの勇敢に物事に立ち向かう 生き方で 毎日を生きているからです


15:12


ありがとう カンファレンスを楽しんでください


15:14


ありがとう (拍手) どうもありがとうございます ありがとう 皆さんも道をみつけて下さい(拍手)

 

 

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ジャーナリスト、スイマー
記録的な長距離の水泳選手、ダイアナ・ニヤドはモチベーションについて深く執筆し、考えている. Full bio

選択のパラドックスについて

Psychologist
バリーシュワルツは経済学と心理学の関連性を研究し、現代の生活に驚くべき洞察を提供します。 最近、ケンシャープと働いて、彼は知恵を学んでいます. Full bio

 

0:11
私自身の著書にあることについてお話します 既にどこかで聞いた事があるような 他のことと共鳴するでしょう しかしそうでない方のために 私が関連付けながら話していきます まずは私が「公式教義」と呼ぶもの から始めたいと思います 何の公式教義なのか? 西欧の産業社会全ての公式教義です その公式教義はこんな調子のものです もし我々が自らの市民の繁栄を 最大限にすることに興味があるのなら その方法は 個人の自由を最大限にすることである その理由はひとつは 自由そのものが良いということ 貴重で、価値があり、 人であることの根幹をなしているから 更に、もし人に自由が与えられれば 一人一人が個人に基づいて行動できる 我々自身の繁栄を最大限にするように行動し 他の誰も 我々のために決断をしないで済みます 自由を最大限にするためには 最大限の選択を与えることです
1:06
選択が多ければ その分自由度は増し 自由度が増せば その分繁栄する
1:15
この考えが 私が思うに あまりにも深く浸透しているため 誰もこれに異議を唱えようとすら 思わないのです またこれは我々の人生にも 深く埋め込まれています 近代の発展で可能になったものから いくつか例を出しましょう これが私のスーパーです それほど大きくはない サラダ・ドレッシングについて一言 私のスーパーには 175種のドレッシングがあって それに加えて10種の エキストラ・バージン・オリーブ・オイルと 12種のバルサミコ酢があります もしここの 175の既製品のドレッシングの中には 気に入ったのがなかった時に 自分で作れるようにね まあ、このスーパーはこんな感じです で、次に電機店にステレオシステムを 作るために行って スピーカー、CDプレーヤー、テープデッキ、 チューナー、アンプなど それでこの電機店1店舗の中に 上のスーパーと同じ数くらいの ステレオシステムがある 1店舗の中にある部品を 組み合わせていくだけで 650万種もの ステレオシステムが組み立てられるのです
2:22
これは莫大な数の選択肢だと 認めざるを得ませんね 他の分野では コミュニケーションの世界 私が子供だった頃は マーベル社からでさえあれば どんな電話サービスでも 受ける事ができる時代がありました 電話は買うものではなく借りるものでした その結果 電話が壊れる事はない ということがありました そんな日々も今は昔 我々の前には 特に携帯電話の世界においては 無尽蔵の選択肢が用意されています これらは携帯電話の未来の形です 私のお気に入りは真ん中の MP3プレーヤー、鼻毛切り クレームブリュレバーナーが一体化してるもの もしお近くの店舗で まだ見かけていなかったとしても大丈夫 近日中にお目にかかれますよ これが何をもたらすかというと 人々が店に来る際 ある質問が既に問われています その質問の答えを今知りたいですか? 答えはNoです 余計なことをしない携帯電話を 買おうとしてもそれは不可能なのです
3:19
さて 購買活動以上に重要な 人生の他の局面においても 同じような選択の爆発が起こっています 医療について 米国では既に 皆さんが医者のところに行くと 医者がどうすれば良いか教えてくれる という時代は終わりました その代わりに 皆さんが医者に行くと 医者から Aをすることができるし Bをする事もできる と言われます Aにはこのような効果とリスクがあって Bにはこのような効果とリスクがある あなたはどうしたいですか?と聞かれます そこで「先生 私はどうしたらいいでしょう?」 と聞くと 医者はAにはこのような効果とリスクが Bにはこのような効果とリスクがあります あなたはどうしたいですか? そこで「先生が私だったらどうしますか?」 と聞いてみると すると医者は 「でも私はあなたではありません」と言う そしてその結果 ―これを「患者の自己決定権」と呼び こう呼ぶと とてもいい事のように聞こえますが― でも本当は何が起こっているのかと言うと 決断権の重荷と責任を 何らかの知識のある者から ―この場合は医者から― 何も知らず 少なくともとても具合が悪いので 判断をくだすのに 必ずしも適さない者 すなわち患者に委ねているのです
4:24
処方箋薬の市場では われわれ消費者に対して 莫大なマーケティング活動が行われてますが よくよく考えてみると これは全く意味のない事で 我々に買う事はできないのです 我々が購入することができないものを なぜ売り込むのか? その答えは我々が翌朝 かかりつけの医者に電話をして 処方箋を変えてもらいたいと 頼ませようとしているのです 私たちのアイデンティティーという ドラマチックなものでさえ 選択できるものとなったことを このスライドは示しています [性別は本人に選ばせようと思うの] アイデンティティーを受け継がず 発明する しかも好きなだけ 再発明するようになると それが意味するところは毎朝目が覚めた時に 自分がどんな人になりたいのか 決断しなくてはならない 結婚や家族に関しては 以前には みんなが持つ共通認識として できるだけ早く結婚をして できるだけ早く 子づくりをするということがありました 本当の選択は誰と結婚するかであって いつ結婚するかとか 結婚後どうするかではありませんでした
5:24
現在では 全てのものがどうにでもなってしまっています 私は素晴らしく知性にあふれた学生達を 教えていますが 以前と比べて与える課題を 20%くらい減らしています それは学生達の頭が 悪くなっているからではなく 熱心でなくなったからでもありません それは学生達が 他のことで頭がいっぱいだからです 「結婚をするべきか否か? 今結婚をするべきか? 結婚を遅らせるべきか? 子供が先か、キャリアが先か?」 これらは圧倒的な質問です そして学生達は 私の出した課題を全てやり遂げるかどうかや いい成績をとるかどうかに関わらず これらの質問の答を出していくのです そしてそうすべきなのです これらはとても重要な質問ですから カールが指摘したように 仕事に関して 我々は恵まれています 世界中のどこにいても 一日のどの時間でも 仕事をすることを可能にする テクノロジーがあるからです ランドルフ・ホテルを除いてね
6:17
(笑)
6:22
それはそうと 1か所だけ 無線が通じる秘密のところがあるんですよ 私が使いたいから誰にも言いません これが意味するところは 仕事に関して我々に与えられている 素晴らしい選択の自由ということですが 私達は常に 何度も何度も何度も仕事をすべきか否かの 決断を下さなくてはならない 子供のサッカーの試合を見に行って 尻ポケットに携帯電話を突っ込んで 反対のポケットにはモバイル端末 膝の上にノートパソコンを開いている それらが全て電源が落とされていたとしても 子供がサッカーの試合を むちゃくちゃにしているのを観ながら 常に自問自答をしているのです 「この電話にでるべきだろうか? このメールの返事は? レポートのドラフトは?」 そしてそれらの答えが たとえ全てNoであったとしても 子供のサッカーの試合を見ると言う経験は 自問自答がなかった時とは とても違ったものになっています 周りを見回してみると 大きなことも小さなことも 物質的なことも生活に関わることも 人生の全てが選択に集約されています 我々が以前生きていた世界は このようなものでした [全て定めのとおり] というのは いくつかの選択はありましたが 全ての物事が選択ということではなかった 我々が今生きている世界はこんな感じです ここで出てくる問いは これはいいニュースか 悪いニュースか? その答えはYesです
7:42
(笑)
7:44
我々はみんな良さについては知っています ですので私は悪い面について 話したいと思います これら全ての選択には二つの効果があります 二つの悪い効果です 一つは 矛盾しているのですが これが開放感ではなく 無力感を生むということです あまりにも多くの選択肢を前にすると 人は選択が非常に難しくなってしまいます これの非常にいい例をひとつ出しましょう 定年後の年金投資計画に関する研究で 私の同僚が ヴァンガードという巨大な投資信託会社から 約2000か所の職場に渡る 約100万人の社員の情報を手に入れたのです 彼女が調べたところによると 会社が提示する投資信託が10件増えるごとに 参加率が2パーセント落ちた という結果が出たのです 50件の投資信託を提示すると 5件提示した時と比べて 参加する社員は10%減る 何故でしょう? それは 50件もの投資信託が提示されると どれを選べばいいのか決めるのが難しくなり 後回しにしてしまうのです それで 一日一日と延ばしていき それがどんどん積み重なって 結局決断を下す事はなくなるのです 理解しなくてはならないのは これが人々が 引退した時資金不足に陥り ドッグフードを食べざるを得ない状況に 陥るということを意味するだけでなく 決断を下す事があまりにも難しいので 会社から受け取る権利のある資金を 放棄してしまっているということです 彼等は参加しないことによって 年間5000ドルもの 会社が喜んで提供すべき資金を 受ける権利を放棄してしまうのです この無力感は 選択が多すぎることに起因しています そして世界をこのようにしてしまう
9:27
(笑) [最後にドレッシングですが フレンチ ブルーチーズ、 「ランチ」のどれに?]
9:34
今後無限に影響を及ぼす決断は 正しく下したいですよね? 間違った投資信託や ましてや 間違ったドレッシングを選びたくはない という これが一つの影響です 二つ目の影響は このような無力感に打ち勝って 決断を下したとしても 選択肢が少なかった時と比べて 決断の結果に対して 得られる満足度は低いということです これにはいくつかの理由があります ひとつは ドレッシングの選択肢がたくさんあると 一つ買ってそれが完璧ではなかった時 完璧であった試しがありましたか? もっといいものを選べたはずなのに と想像することは いとも たやすいことです そこで何が起こるかというと この取らなかった選択肢が 自分の決断を後悔させることになり この後悔が下した決断の満足度から 差し引かれていくのです 例えそれがとてもいい決断だったとしても 選択肢が増えれば増える程 自分が選んだオプションに対し 不満を感じやすいことになります
10:31
二つ目は 経済学者が機会費用と呼ぶものです 今朝 ダン・ギルバート氏が 我々の価値判断は 比較対象されるものに 影響されると言う点を その講演の中で語っておられました 多くの選択肢を検討しなくてはならないと 選ばなかった選択肢の良いところを 想像し 選んだ選択肢に その分不満を持つ度合いが多くなることは たやすく想像できます ここに一つの例があります
10:59
ニューヨークから来た人には悪いのですが [85番街の駐車スペースが気になるんだ]
11:03
このように考えてください [85番街の駐車スペースが気になるんだ] ここにハンプトンズのカップルがいます 高価な邸宅に暮らし 素晴らしい浜辺で過ごす 素晴らしい日です 全てを手に入れてる 他に何を望むというのでしょう この男性は思ってます 「ええい くそっ 今は八月で マンハッタンの隣人達は みんなどこかに出かけている だからマンションの目の前の 駐車場が空いているじゃないか」 そして2週間 毎日毎日 あの素晴らしい駐車スペースを逃している という考えに 捕われているのです 機会費用は 我々の選択が たとえどんなに良いものであっても その満足度から 差し引かれていくのです だから選択肢が多ければ多いほど またそれらが魅力的であればあるほど それらは機会費用として 我々に跳ね返ってくるのです もう一つの例を挙げましょう この漫画は多くの点を示しています ひとつは 今を生きるという点 また ゆっくりと時間をかけてやるということ でも一つあげるとしたら どれか一つのことを選んだとしたら 他の事をやらないことを選んだ ということでもある そしてその他のことには たくさんの魅力的なことがあるかもしれない そのことが今自分がやっていることから 魅力を損ねるのです
12:13
三つ目は期待値の増大です これはジーパンを買い換えに行った時に 気がついたのですが 私はいつもジーパンを履いてます 以前はジーパンは一種類しかなく それを購入して 全然体にあってなくて 信じられないくらい着心地も悪くて でも長い事履いて何度も洗うことによって なんとなく良くなっていった そこで何年も何年も履いていたジーパンを 買い替えるために出かけていって 「ジーパンが欲しい 私のサイズはこれです」 と言いました すると店員が 「スリムとストレートとリラックスと どれにしますか? ボタンフライかジッパーにしますか? ストーンウォッシュそれともアシッド? ダメージ加工のものにしますか? ブーツカットにするかテーパードにするか それともそれとも」と永遠に続く 私は呆れて何も言えなくなって しまったのですが ほどなくして 「以前一つしかなかったやつと 同じものが欲しい」と言ったのです
12:55
(笑)
13:00
彼はそれがどんなものか 見当もつかなかったので 私はいろいろのジーパンを 1時間にも渡り試着して 正直に言うと今までで最高にフィットした ジーパンを手に入れてお店を後にしました これらの多くの選択肢が 私が最高のものを選ぶ事を可能にしました でも気分は最悪でした 何故か?それを自分に説明するために 本を1冊書きました 私の気分が最悪だった理由は これだけ多くの選択肢が 与えられていることで 私にとっての良いジーパンの 期待値が上がったからです もともと 選択肢が一つしかなかった時は 全く期待などしていなかったのです それが100に増えてしまったとたんに、 どれかひとつ完璧であるべきだと そして私が得たものは良いものだったけど 完璧ではない そこで期待していたものと 実際のものを比較して 期待していたものと比べて 満足度の低いものを得たのでした 人々の生活に選択肢を増やすことは それらの選択肢に対する 期待値を増大させることを 余儀なくさせてしまいます そしてそれは結果がたとえ良くても その満足度を より少なくするということを生み出します [どれも素晴らしそう 間違いなくがっかりする] マーケティング業界は誰もこれを知りません [どれも素晴らしそう 間違いなくがっかりする] 知っていたとしたら 誰もこれが何の事がわからないでしょうから 真実とはこのようなものです
14:23
(笑) [全てがひどかった頃の方が全てが良かった]
14:26
全てががひどかった頃の方が 全てが良かった理由とは 何もかもが良く無かった頃は 良い意味での驚きをもたらす体験をすることが 可能だったからです 今現在 我々裕福な産業国に住む市民が この世界で生きている限り 期待値が完璧を求めている中で 望みうる最高のことは 期待通りということなのです 良い意味での驚きというものは あり得なくなっている それは我々の期待値が 天井知らずになってしまったからなのです 皆さんが今日ここに来た目的 幸せを得る秘密とは 期待値を低く持つということです
15:02
(笑)
15:04
[頼んだよ] (拍手)
15:10
ひとつ 個人的な話をします 私は大変素晴らしい女性を 妻としています これ以上はないというくらい 妥協しませんでした でも妥協するというのは 必ずしも悪い事ではありません 最後にきちんとフィットしていない ジーパンを買う事の 悪影響の一つとして 買うものが一種類しかない場合 満足していない理由を考えてみて 誰の責任か 答えは明確です この世の中が悪い あなたに何ができたでしょう? ジーパンの種類が何百もあるとなって 満足のいかないものを買ってしまった時 誰の責任かと自問自答すると 同じように明確に答えは あなた自身なのです あなたはもっといいものを選べたはずです 何百種類ものジーパンを前にして 失敗は許されません だから人々が決断を下す時 またその決断が たとえいいものであったとしても それに満足が得られなかったら 自分自身を責めるのです
16:10
ここ数10年で産業国において鬱病が 爆発的に増加しました 私は 鬱病や自殺が爆発的に増えた 大きな要因は ―これだけではありませんが― 人々の期待値が高すぎて その結果 経験が不満足なものに なってしまっているという ことがあると思っています そしてそのような体験を自分自身に 説明しようとする際 全て 自分の責任だと思ってしまうのです すると総体的な結果として 一般的に 客観的には良い事になっているのに 気持ちは最悪になっています そこで皆さん覚えていてください これが皆が自明のこととして信じている 公式教義ですが それはみんな嘘っぱち 真実ではないのです 全く選択肢がないよりは 多少あった方がいいに決まっています だからといって選択肢は 多ければ多いほどいいわけではありません 私にはわかりませんが 秘密の数値があるのでしょう 私は選択肢の多さが 我々に繁栄をもたらすという地点を とっくに通過してしまったと 自信を持って言えます
17:06
そこで 政策問題として もう少しで終わりますよ 政策問題として考えなくてはならないのは 次の点です 産業社会において選択肢を与えているものは 物質的な豊かさです この世の中には 選択肢の多さが問題に なっているのではないところが まだ数多くあることを 我々は聞き知っています 彼等の問題は選択肢が少なすぎることです だから私が言っていることは 近代の 豊かな西欧社会独特の問題なのです そこで非常に不愉快でいらいらさせるのは 次の点です スティーブ・レヴィットが 昨日皆さんにお話しした 高価で取扱が難しいチャイルドシートが 何の効果もなくお金の無駄だということ 私が言いたいのは このような高価で難しい選択肢が 役に立たないだけではない 実際には危害を加えるのです 我々をより悪い方へと導く事になるのです
18:03
我々の社会において 多くの選択肢を可能にしているものを 選択肢が少なすぎる社会に 移す事ができたとしたら 選択肢の少なすぎる社会の人たちの 生活が向上するだけでなく 我々の生活も向上するのです これが 経済学者が言うところの パレート改善ということです 収入の再分配は 貧しい人たちだけでなく 全ての人たちを幸せにします それは多すぎる選択肢の悩みから 解放されるからです 結論として この漫画を読んだ時 [限界などない ―願ったとおりになれるのだ] 洗練された人は 「この魚が何を知っているのだろう この金魚鉢の中では 何も可能性などないことを 知っているでしょうに」と言うべきなのです 想像力の欠如 近視眼的な世界観 私も初めはそのように解釈していました でも色々考えを進めて行くうちに この魚は何事かを知っているかもしれない と思うようになりました それは 究極のところ 可能性を広げるために 金魚鉢を叩き割ってしまったら 得られるのは自由ではなく 無力感だからです 可能性を広げるために 金魚鉢を叩き割ってしまったら 満足度を低下させてしまいます 無力感を増大させ 満足度を低下させる みんなが金魚鉢を必要としています 今あるものはどうしても限界がある 我々にとってだけでなく 魚にとってさえも でも隠喩的な金魚鉢の欠如は 不幸を作るレシピに過ぎません また 大災害のもとにもなることでしょう ありがとうございました
19:29
(拍手)

 

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Psychologist
バリーシュワルツは経済学と心理学の関連性を研究し、現代の生活に驚くべき洞察を提供します。 最近、ケンシャープと働いて、彼は知恵を学んでいます. Full bio
 

私たちは自分の意思決定を本当に自分でできていますか?

 

0:11
不合理な行動について話します あなた方のことではありませんよ もちろん (笑)
0:17
MITに行って数年後 論文を書くのはそんなに楽しいことじゃないと悟りました 読んだ人がいるかは分かりませんが 読んでも面白くないし 書くのもあまり面白くありません 書くほうがもっと退屈です ですから もっと面白いことを書くことに決めました それで 料理の本を書こうと思いつきました 本のタイトルは 「パンくずなしの食事 — 流し台の上で食べる技術」 (笑) これは台所を通した人生の観察になるはずでした 私はこのアイデアに夢中になって 研究について少し 台所について少し書くつもりでした 私たちは 台所でいろんなことをするので面白いと思ったんです 2、3章書いたところで MITプレスに持っていったら 言われました 「いいね、でもウチ向きじゃない 他所を当たって」 他も当たってみましたが 皆口をそろえて 「いいね、でもウチ向きじゃない」
1:10
誰かがこう言うまで 「君、これを本気でやりたいなら まず自分の研究について本を書いて実績を作んなさいよ そしたら別な本を書けるチャンスだって出てくる 先にやるべきことをやることです」 「でも研究については書きたくないんだ 一日中やってるんだ 他のことを書きたい もっと自由で、制約のないものをさ」 この人は 大変力強く言いました 「道はこれしかありませんよ」 だから私は言いました「仕方ないな」 「他にどんな方法もないなら、自分の研究について書いて それから、料理の本を書をくぞ」と思い 長期休暇を取って 自分の研究について書きました
1:46
これは2つの点で結構楽しいものでした 最初に 書くことが楽しかったです でも、もっと面白かったのは 人から学ぶようになったこと ものを書くには素晴らしいご時世です 沢山のフィードバックがもらえます 人は彼らの個人的経験や、実例 同意しない点、微妙な違いなどを 書いてきてくれます ここに居る数日の間にも 今まで考えたこともないような 究極的に偏執的な行動を知ることになりました (笑) それはまったく素晴らしいことだと思います
2:17
さて 不合理なふるまいの話です 不合理性の象徴として 目の錯覚を いくつかご覧いただきましょう この2つのテーブルを見てください この錯覚は見たことがあるでしょう どちらが長いでしょう 左の縦になったテーブルか 右に横になったテーブルか どちらが長く見えますか? 左の方が長いということに反対の人はいますか? いませんね? ありえません しかし 錯視の良いところは 間違いを簡単に示すことができる点です 線を加えて見ましょう 助けになりません 線を移動させてみましょう 私が線を短くしていないと信じてもらえれば あなたが目に騙されていることを証明したことになります さて 興味深いのは この線を取り除くと まるでこの1分間に何も学ばなかったみたいです (笑) これを見て こうは言えません「わかった、これで、ありのままに見えるぞ」 そうですね? こっちのほうが長いという感覚を 打ち破ることは 不可能です 直感は我々を 繰り返し予想通りに欺くのです それについて ほとんど打つ手はありません 定規を持って 測り始める以外は
3:24
これは別のものです 私の大好きな錯視の1つです 上の矢印が示しているものは何色に見えますか? 茶色 ありがとう 下のは? 黄色 実は同じ色です 同じ色に見える人はいますか? すごく難しいです 立方体の残り部分をすべて覆ってみると これらが同じ色であることがわかります 信じないなら、後でスライドを手に入れて 同様の細工をして同じ色であることを確認してください この場合も 目隠しを取ると 錯覚が復活します この錯覚を避ける方法はありません 色盲の人なら、これは見えないかもしれませんね 錯覚を象徴的に 捉えてみてください
4:05
視覚は我々の最も優れた能力であり 脳の大きな部分が視覚に使われています 他の何よりも大きい 他の何をするよりも多い時間を"見る"ことに費やしています 人間は視覚に合わせて進化しました この得意とする視覚で 予想通り 繰り返しミスをするならば 得意でない分野でミスしない 可能性はどれほどでしょう 例えば 投資の判断とか (笑) 我々の進化に関係がなく 脳にそのための部分があるわけでもなく 一日の大半の時間を費やすわけでもありません だからそういった分野では より多くの間違いを犯しているかもしれず もっと悪いことに、その間違いになかなか気付きません 錯視では間違いを簡単に示すことができますが 認識の誤りを人に示すのは ずっと難しいからです
4:53
そこで 私は認識の錯覚、または 意思決定の錯覚を同じように示したいと思います これは社会科学で私の大好きなグラフで ジョンソンとゴールドスタインの論文からです これは基本的に 臓器を寄付することに 関心を示した人の割合を表します これは、いくつかのヨーロッパの国ですが 基本的に二つのタイプに分かれています 右の国はたくさん寄付しそうな国 そして左の国は かなり少ないか ほとんど寄付しません なぜたくさん寄付する国と あまり寄付しない国があるのでしょう?
5:29
この質問をすると 通常、文化の違いだろうと言います どれほど他人を思いやれるか 誰か他の人に臓器を与えるというのは どれほど社会を思いやり、繋がっているかを示すように思えます または、宗教的な理由 でも、このグラフを見ると 似たような文化背景と思われる国が 実は、かなり異なった振る舞いをするのがわかります 例えばスウェーデンは、右側にありますが 文化的に似ていると思われるデンマークは 左側です ドイツは左、そしてオーストリアは右 オランダは左、そしてベルギーは右 そして最後に、ヨーロッパの類似点を どう定義付けるかによって イギリスとフランスが文化的に似ているかどうかはさておき 臓器提供に関しては 非常に異なることがわかります
6:18
オランダについては面白い話があります オランダは提供しない方のグループの中では高い割合を示します この28パーセントは オランダのすべての家庭に 臓器提供のプログラムに入るよう嘆願する手紙を送付した結果 得られたということが判明しました 「頼まれてするのにも限度がある」という言い回しはご存知ですね それは臓器提供では28パーセントということです
6:40
(笑)
6:42
右側の国が何をしているにせよ 頼み込むよりも ずっとうまくやっています 何をしているのでしょう? その秘訣はDMV(運輸局)の記入用紙にありました こういうことです 左の国のDMVは このような 記入用紙を使っています 臓器提供者プログラムに参加したい場合 下のチェックボックスに印を入れてください どうなるでしょう? みんなチェックをつけず 参加しません 右側の寄付の多い国は 記入用紙がわずかに違っています 参加したくない人は 下記のチェックボックスに印をしてください 興味深いことに この用紙を受け取った人も 同じく印をしません その結果 参加することになります
7:18
(笑)
7:21
では、これが意味することを考えてみましょう 朝目を覚ましてからずっと 自分の意志で行動しいると思っています 起きて洋服ダンスを開け 何を着るか決めていると思っています 冷蔵庫を開け 何を食べるか決めていると思っている これが実際 示すものは 多くの決断を自分ではしていないこと それは あの記入用紙をデザインした人の手の中にあるのです DMVの建物に入ったら その用紙をデザインした人が あなたの行動に 多大な影響力をもっています これらの結果を予感するのは非常に難しいです 考えてもみてください どれだけの人が 明日 免許証を書き換えに DMVに行って あなた自身の行動を変える記入用紙に 直面すると思うでしょう? 影響すると思うのは難しいですね 「あの変なヨーロッパの連中なら そうだろうさ」 とは思っても 自分たちに関しては 自分で制御している感覚があります 自分でコントロールしていて 決定を下しているという感覚があり 実は決定している幻影を 見ているに過ぎないんだという考えを 受け入れるのは大変難しいです
8:25
こう言う人もいるでしょう 「これは あまり大切な事じゃないから」 事実 これはあなたが死んだ後に どうなるかを決めるものです 死んだ後に起こることになんて かまっていられません 合理性を信じる普通の経済学者は こう言うでしょう「鉛筆持ち上げ Xと印をつけるコストのほうが 決定による利益より大きいからさ」 だからこんな結果になるんだと しかし実際は それが簡単だからではなく 取るに足らないからでも、我々が気にかけないからでありません 逆です 私たちはそれを気にかけていて それは難しく しかも複雑なのです 複雑すぎてどうしていいかわからないのです どうしていいかわからないから 何であれ選ばれているものを そのまま受け入れるのです
9:10
もう一つ例を挙げましょう これはレデルマイヤーとシェーファーの論文からです 彼らは言っています「これらの効果は 高い報酬を得ている専門家の 意思決定においても よく見られる」 患者の事例研究を装って 一団の医師を集めました この患者は67歳の農民で 右腰の痛みにずっと苦しんでいました 医者たちにこう説明します 「あなたは 数週間前に もう この患者には施す手がないと判断しました 薬はどれもまったく効き目がない 患者に人口股関節置換を薦めました 手術です いいですね?」 患者は人工股関節置換手術を受ける手続きを始めています それから医師たちの半数にこう言います 「昨日、患者の記録を再検討し 薬剤の1つを試し忘れていたのに気付きました イブプロフェンはまだ試していない どうしますか?あなたは患者を引戻してイブプロフェンを試しますか? それとも、そのまま手術を受けさせますか? ありがたいことに、この件では 殆んどの医者は 患者を引きとめてイブプロフェンを試すという判断をしました 医者として 良いことです
10:12
他の医者のグループにはこう言いました 「昨日、患者の記録を再検討し 薬剤を2つ試し忘れていたことに気付きました イブプロフェンピロキシカムです」 「試していない薬剤が2つありますが、どうしますか? そのままにするか、引き戻すか 引き戻すなら、イブプロフェンピロキシカムのどちらを試しますか?」 さて考えてみてください この決定は 患者にそのまま手術を受けさせるのは簡単 しかし引き戻すほうは 突然複雑になりました 決めることが一つ増えました さでどうなるでしょう? 大多数の医者は患者に 人工関節置換手術を 受けさせることを選びます この結果には 不安になりますね (笑) 皆さんが医者にかかるとき 問題は 医者がこうは考えないこと 「ピロキシカムイブプロフェン、 人工股関節置換 どれにしよう? よし、人工股関節置換にしよう」 しかしこれをデフォルトとして設定してしまうと それは人々の行動に大きな支配力を持ちます
11:05
不合理な意思決定に関する例をあと2、3上げましょう 想像して下さい、私があなたにこういったオファーを出します ローマに週末旅行に行きたいですか? 費用はすべてこっち持ちです ホテル、旅費、食事、朝食 コンチネンタル ブレックファスト 全部タダ それとも 週末のパリ? さて週末のパリと 週末のローマ これは異なるものです 食事 文化 芸術 みな違います これに誰も望まない選択肢を 追加してみましょう 「どれがいいですか? ローマでの週末 パリでの週末 車を盗まれる」 (笑) おかしな発想です 車の盗難にあうという選択肢が 何かに影響するでしょうか? (笑) では もし車の盗難にあう事が もうちょっと違ったものだったら? ローマの旅行で 旅費に朝食 すべての費用が支払われる でも朝のコーヒーはなし―というのが選択肢だとしたら? コーヒーが飲みたければ自分で支払います 2.5ユーロです さて ある意味 コーヒーつきのローマが選べるのに なぜコーヒーなしのローマを選びたいと思うでしょう? まるで車の盗難のように 明らかに劣った選択肢です しかしなんと 「コーヒーなしのローマ」が加わった途端に 「コーヒーつきのローマ」の人気が上がるのです みんなそちらを選びます コーヒーなしのローマという存在が コーヒーつきのローマの魅力を引き立てるのです そしてコーヒーなしのローマだけでなく パリよりも魅力的になります (笑)
12:29
この原則にそった例が2つあります これは数年前のエコノミスト誌の広告で 3つの選択があります オンライン購読、59ドル 雑誌の定期購読 125ドル 両方なら 125ドル (笑) 私はこれを見て、エコノミスト誌に電話しました 何の意図があってのことかが知りたかったのです 私は、たらいまわしにされ そしてようやくウェブサイトを担当していた人にたどり着きました 彼らに電話したら、確認してみますということでした その後あの広告はなくなったのですが、何の説明もありませんでした
13:06
ですから私は エコノミスト誌に 一緒にやってほしかった実験をすることにしました MITの学生100人に 「どちらを選ぶ?」と聞きました これがそれぞれのシェアです 大部分の人が"両方"という選択を選びました ありがたいことに、真ん中はいませんでした 学生は読むことはできるようです (笑) しかし、そこに誰も望まない選択肢があるので それを除くことができますね? それで、私はもう一つのバージョンを印刷しました 真ん中の選択肢を抜いたものです 別な学生100人に選ばせました これがその結果です 最も人気のあった選択肢が、最も人気のないものになりました そして、最も人気がなかったものが、最も人気があるようになりました
13:42
これが何を意味するかというと、真ん中の役に立たない選択肢は 誰もそれを望まないという点では役立たずですが 人に自分が望むものを分らせる点で 役立たずではなかったのです 事実、雑誌のみで125ドルという 真ん中のオプションと比較して 雑誌とウェブの両方で125ドルというのは、すごくお得に感じられます そして結果として、人はそれを選びます ここでの基本的な考え方は 我々は自分の好みをよく分ってないということです そして自分の好みをあまり知らないがゆえに 我々は外部の影響を受けやすいのです デフォルト、我々に提示される特別なオプション などなど
14:21
もう一つの例は 肉体的な魅力ということに関しては 誰かに会ってすぐに、好きかどうかわかると私たちは思い込んでいます ひきつけられるかどうか これがカップリングパーティみたいなものが成り立つ理由です それで私はこれを実験してみることにしました 人物のイメージをご覧いただきます 本物の人ではありません この実験の対象は人です 私は一部の人々に トムの写真とジェリーの写真を見せて こう聞きました「トムとジェリーどっちとデートしたい?」 でも半分の人には、ジェリーの醜いバージョンを加えました Photoshopを使って ジェリーをすこし魅力的じゃなくしました (笑) 他の人には、トムの醜いバージョンを加えました そして問題は、醜いジェリーと醜いトムは 彼らの魅力的な兄弟の助けになるか? 答えは、もちろんイエスです 醜いジェリーがいると、ジェリーに人気が出ます 醜いトムがいると、トムに人気がでます
15:13
(笑)
15:15
もちろん これには人生一般において 2つの明確な意味があります もし飲み歩きに行くなら誰を一緒に連れて行くか (笑) 少し醜いバージョンの自分を連れて行きたいですね (笑) よく似ていて、でもちょっと醜い (笑) もう1つの点はもちろん 誰かに飲みに誘われたとき、自分がどう思われているかわかるということです (笑) さて、わかりますね
15:49
共通項は何でしょう? それは 経済学について考えるとき この美しい人間性という面に触れます 「人間とはなんたる傑作か!理性の高貴なること!」 我々は自分や他人に対してこういう見方をします 行動経済学的見解は 人々にあまり寛大ではありません 行動経済学者は人を医学的にこう見ています (笑) しかし希望の兆しがあります 希望の兆しは 私が思うには 行動経済学が面白くて刺激的な理由でもあります 我々はスーパーマンかホーマー シンプソンか?
16:25
物質的な何かを作るときには 我々は限界を理解します 階段を造って、そしてこのような 誰もが使えはしないものを作ります (笑) 我々は限界を理解しています そして限界をわきまえて作ります しかし、精神的な世界となると 健康保険や年金や株式市場みたいなものをデザインするとき どうも我々は 限界を忘れます 我々が物質的な限界を理解すると同様に 認識的な限界を理解するならば 我々をみんな同じようには見ないにしても より良い世界を設計することができると思います これが行動経済学が示す希望なのです
17:01
どうもありがとう
17:03
(拍手)

 

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Behavioral economist
経済学の陰気な科学は、かつて想定されていたように実際の行動にしっかりと根ざしているわけではない。 「予測不可能な不合理」では、Dan Arielyが疑問を問いかける. Full bio